「SMの加虐」とは別物——明治大学の“拷問博物館”で刑罰史を直視する

「明治大学の拷問博物館」って知ってますか?

SNSや口コミでたびたび見かけるこの呼び名。正体は、明治大学・駿河台キャンパスの明治大学博物館にある常設展示のうち、主に刑事部門が強烈に印象に残ることから生まれた“通称”です。

ただし方向性は「怖いものを見せる」ではなく、過去の残酷で非人間的な拷問や刑罰を批判的に回顧し、法と社会の変化を考える展示として組まれています。

具体的にこんなものが展示されています

入口付近は、江戸の法と捜査の“導入”から始まります。たとえば「高札(お触れ書き)」や、十手・刺又などの捕者道具、さらに人相書や法令・刑罰に関する古文書資料などが並び、逮捕から取り調べ、裁判、刑罰へ至る流れを資料で追える構成です。

そこから奥へ進むほど空気が変わります。拷問や刑罰に関わる道具は(複製品を含め)「当時それがどう位置づけられ、どう運用されたか」という解説とセットで置かれ、歴史を“物”で読む感じが強いです。たとえば江戸の拷問として知られる石抱責(いしだきぜめ)の展示・解説もあり、想像力を容赦なく刺激してきます。

そして話題になりやすいのが、展示資料として国内唯一級と紹介されることのあるギロチン。ここは「うわ…」で終わらず、制度が人の身体をどう扱ってきたかを、その場で考えさせる置き方がされています。

また、江戸から明治へ体制が変わる中で刑罰がどう変化したか、さらに欧州の刑罰思想や諸外国の刑罰資料にも触れて日本を相対化する流れも入っています。

SMの「加虐」とは何が違うの?

ここで扱われているのは、あくまで国家・制度が“合意のない形”で身体を支配した歴史です。展示そのものも、拷問や刑罰を肯定したり、娯楽化したりする意図ではなく、非人間性を批判的に振り返る立場を明記しています。

一方で、SMの「加虐」は(少なくとも健全な枠組みでは)当事者同士の同意・ルール・停止の手段・ケアが前提にあり、関係性の中で意味づけが行われます。だからこの展示は、似た単語で括るほど近いものではありません。むしろ「同意がない力」が社会の仕組みとして成立したとき何が起きるかを、まざまざと見せてくれる場所——その差分の大きさが、強い学びになります。

行く前に知っておきたいこと

明治大学博物館はアカデミーコモン地階にあり、観覧は無料

開館時間は原則、平日10:00–17:00(最終入館16:30)/土10:00–16:00(最終入館15:30)で、日祝休館です(年度内に臨時開館・休館日あり)。
直近だと、公式案内で年末年始は2025/12/25〜2026/1/7が休館とされています。

さらに、公式サイトには常設展示室改修に伴い刑事部門が一時休止(2026/2/24〜3/25)という告知も出ています。行く日が近いほど、トップのニュース欄だけでもチェックしておくのが安全です。