性を越える装いの美しさをたどる企画展
國學院大學博物館の企画展「性別越境の歴史学-男/女でもあり、女/男でもなく-」は、「男」と「女」の境界を曖昧にする装いに魅力を感じる。
そんな 異性装フェチの人にとって、この企画展はまさに“歴史の奥に隠れていた同じ感覚のルーツ”を見つけに行くような体験になります。
本展が扱うのは、現代的な“ジェンダー論”だけではありません。
古代の神話、芸能の世界、近世の若衆文化、そして近代の装いの規範――
「性別が固定される前に、人はどう装っていたのか」という始源的な問いが軸にあります。
異性装、つまり装いによる“性の越境”は、実は日本文化の内側に深く根づいていた。
展覧会は、その事実を豊富な資料と表現から静かに語りかけてきます。
若衆・女形・聖なる越境──異性装に潜む古い官能性
異性装フェチの視点で最も刺さるポイントは、“美のために性別を越える存在”が歴史のどこに潜んでいたか、という点です。
■ 若衆の装いが持つ中性的な魅力
中世〜近世の日本には、年齢・役割で装いが変わる文化があり、
そこでは 「男だが女のように美しい」若衆像がごく自然に受け入れられていました。
この中性的な美意識は、現代の異性装フェチにも通じる“曖昧さの官能”を含んでいます。
■ 歌舞伎の女形が生むフェティッシュ性
女形の衣装や所作は、女性そのものではなく、“女という概念の抽象美”を体現したもの。
これはフェティッシュ的快楽にも通じ、
「性別を越えることでしか生まれない美」が何百年も前から追求されていたことが分かります。
■ 神話にみる両性性の神々
古代神話には、男女の境界を行き来したり、どちらとも言い切れない身体を持つ神が登場します。
その姿は、異性装フェチの人が感じる「自分の身体を別の形に変える幻想」に近いものでもあります。
現代の“異性装感覚”を歴史から照らす展示
本展の魅力は、
「異性装=現代の趣味」ではなく、遥か昔から続く文化の流れの中に位置づけてくれる」点です。
現代のクロスドレッシング、男装・女装のファッション、可変的な性表現――
これらが決して“突然生まれたもの”ではないことが見えてきます。
展覧会のテーマである
「男/女でもあり、女/男でもなく」
というフレーズは、そのまま異性装フェチの根底にある魅力とも重なります。
“女性になりたい男性”や“男性の装いを身にまとう女性”という二択ではなく、
その中間に広がるグラデーションの美しさが確かに存在してきた――
そんな歴史の裏側を覗くような体験ができます。
開催情報(國學院大學博物館:東京都)
企画展「性別越境の歴史学-男/女でもあり、女/男でもなく-」
会場:國學院大學博物館(東京都渋谷区東)
アクセス:渋谷駅・表参道駅から徒歩圏
料金:無料
会期:令和7年12月6日(土)~令和8年2月23日(月・祝)

異性装を愛する感覚は、特殊でも新しいものでもなく、
歴史の中で繰り返し現れ、受け入れられてきた「人間の表現のひとつ」だった。
この企画展は、その事実を丁寧に示しながら、
“性の境界に魅了される私たち”の根っこをやさしく肯定してくれる展示です。
異性装フェチの視点で見れば、
これは単なる学術展ではなく、
「自分が惹かれてきた美しさの系譜を見つけに行く旅」にもなるはず。























