正月の入口にある縄の美——しめ縄・捕縄術・緊縛をつなぐ一本の線

麻のしめ縄は、結び目で「正月の結界」をつくる

しめ縄は「注連縄」「標縄」などとも書かれ、神聖な場所の境界を示すものとして説明される

飾りの造形には“七・五・三”が入り込み、しめ縄が「七五三(しめな)縄」と表記されることもある。これは、縄に垂らす藁束を 7本・5本・3本にする、といった作り方に由来するとされる。

正月の縄に数字の秩序があるのは、単なる縁起担ぎというより、「区切り」と「整え」を結び目で可視化するためのデザインでもある。

麻のしめ縄、麻縄の緊縛──“結ぶ素材”が連れてくる空気

麻縄といえば、緊縛の世界でもよく使われる素材として知られている。しめ縄は稲わらが一般的だが、地域や用途によっては麻(精麻)なども用いられ、「清め」「祓い」と結びつく語りが見られる。麻という素材が持つ“張り”や“立ち上がり”は、結び目や撚りをくっきり見せ、正月の入口に凛とした輪郭を与える。

縄で人を縛る技術には、たとえば捕縄術(ほじょうじゅつ)のように、相手の動きを制することを目的とした体系がある。一方の緊縛は、同じ「縛る」という行為を、制圧ではなく造形として扱う。縄の線をどう走らせるか、結び目をどこに置くか、左右のバランスや余白をどう残すか——その設計によって、身体は模様をまとい、場には静かな緊張が立ち上がる。

捕縄術が「ほどけないこと」「機能すること」を突き詰めた縛りだとすれば、緊縛は「見えること」「感じられること」を磨いていく縛りだ。用途は違っても、縄が空気を変える力は共通している。正月飾りの縄が玄関先の気配を整えるように、緊縛の縄もまた、結びの配置で空間の温度と視線の流れを編み替えていく。

門松豆知識:縄目は“七・五・三”で巻く——正月の入口を締める作法

門松の縄にも“七五三”が仕込まれる。たとえば仙巌園の門松では、全体をまとめる縄目を下から 7回・5回・3回と巻き、「七五三」になるようにする、と紹介されている。

門松が年神さまを迎える目印(依り代)と説明されることと合わせると、玄関先は「迎える構え」を縄で固定する場になる。

しめ縄の七五三、門松の七五三。正月のフェティシズムは、派手な飾りよりも、結び目と回数がつくる秩序——“新年を迎える手つき”そのものに宿っている。