除夜の鐘は「年越しの音の儀式」——108回がつくる区切り
大晦日の夜、深夜0時をまたいで鳴る除夜の鐘は、ただの“お寺の音”じゃなくて「一年の終わりと始まり」を耳で確認するための装置みたいなものです。多くの寺院では年内に107回、年が明けてから最後の1回という形で鳴らされることが多く、カウントダウンの代わりに“鐘の回数”で時間を感じられるのが独特。
そして象徴として有名なのが108回=煩悩の数という説明。鐘が鳴るたびに「余計なざわつきが少しずつ落ちていく」物語が付くから、音そのものが“浄化っぽく”聴こえてくる。

反復音・余韻・低い響き——「鎮静フェチ」はASMRに近いのか
ASMR(Autonomous Sensory Meridian Response)は、ささやき声や軽いタッピングなど特定の音・映像で、心地よさやゾクゾク感、リラックスが起きるとされる現象です。
除夜の鐘がASMR的に感じられる人がいるのは、たぶんここがポイントです。
①反復:同じ音が一定の間隔で繰り返されると、身体が“次”を待つモードに入り、落ち着きやすい。
②余韻(ロングトーン):鳴ったあとに長く残る響きが、呼吸の速度や思考のテンポをゆっくりに寄せる。
③「静けさ」を含んだ音:鐘そのものより、鳴る前後の“間”が効いて、聴覚の集中が起きる。
つまり「鐘の音が気持ちいい」というより、反復+余白+儀式の意味が合体して、鎮静やフェティッシュな偏愛として立ち上がる感じです。

いちばん効く聴き方——“間”に身体を預ける年越し体験
除夜の鐘をASMRっぽく味わうコツは、音を追いかけすぎず、余韻が消えるまでの空気ごと受け取ること。スマホで録音して後から聴くのもいいけれど、現地や窓の外で聴く場合は、冷たい空気・遠くの足音・人の気配まで混ざって「年越しの音の層」ができます。
おすすめは、鐘が鳴るたびに「何かを反省する」より、もっと単純に——1回ごとに呼吸を1つ長くする、余韻が切れたら肩の力を抜く、みたいな身体のルールだけ作ること。108回は長いので、途中で意識がほどけてくる。その“ほどけ”こそが、年末にだけ許される静かなフェティシズムです。















