性を見せて、笑わせて、学ばせた展示空間
秘宝館とは、日本各地の温泉地や観光地に設けられていた、性・身体・生殖・性文化をテーマにした私設展示施設である。
展示内容は、男女の人体構造を示す模型、妊娠や出産の仕組みを解説する展示、等身大人形による情景再現、ボタン操作で動くからくり展示などが中心だった。
多くの秘宝館では、医学的・生理的な説明と、戯画化された演出やユーモアを交えた展示が同じ空間に並んでおり、学習要素と娯楽要素が混在していた点が特徴とされる。いずれも公的な博物館ではなく、民間によって運営されていた。

観光地に広がり、静かに姿を消していった理由
秘宝館が各地に広がったのは、高度経済成長期以降である。社員旅行や新婚旅行など、団体で温泉地を訪れる観光スタイルが一般化するなかで、夜間の娯楽施設として設置される例が多かった。
当時は性に関する情報が現在ほど一般的ではなく、秘宝館は「教育」「余興」「見世物」という要素を組み合わせることで、観光地の集客装置として機能していた。
1980年代頃に最盛期を迎えたが、旅行形態の変化や社会意識の変化などにより、1990年代以降は閉館が相次ぎ、現在ではその数を大きく減らしている。
熱海秘宝館について|日本最後の秘宝館が残る場所
2025年現在、日本国内で営業を継続している秘宝館は、静岡県熱海市にある熱海秘宝館のみである。熱海秘宝館はアタミロープウェイ山頂に位置し、温泉地観光と結びついた施設として長年運営されてきた。
かつては全国各地に存在していた秘宝館だが、現在は熱海秘宝館が唯一の現存例となっており、「日本最後の秘宝館」とも呼ばれている。

熱海秘宝館のリニューアル|「ネオ秘宝館」がつくった新しいかたち
熱海秘宝館は2024年5月にリニューアルを実施し、新エリア「ネオ秘宝館」が登場した。ネオ秘宝館は「お祭り」をテーマにした1フロア構成で、館内全体がフォトスポットとして楽しめる空間となっている。

リニューアルに合わせて、落合翔平氏とのコラボレーショングッズとして、ステッカーやクリアファイルの販売も行われている。フォトスポットには、熱海秘宝館のシンボルである「マーメイド」になりきれる展示や、オカモト株式会社が協力する「コンドーム着用啓発フォトスポット」が設置され、楽しみながら学べる構成となっている。

ネオ秘宝館は、第1エリア「創造力」、第2エリア「想像力」、第3エリア「表現力」という3つのテーマで構成されている。また、リニューアルにあわせて「秘宝館の歴史」エリアも新設され、妙木忍(東北大学大学院准教授)による解説パネルや、都築響一が撮影した閉館済み全国秘宝館の写真、各館の関連資料などが展示されている。
温泉や街歩きの合間に、かつて全国に存在した秘宝館の歴史と現在をまとめて知ることができる場所が、今も熱海に残っている。熱海を訪れた際には、そんな一風変わった展示施設に足を運んでみるのも、旅のひとつの楽しみ方かもしれない。














